さて今回の「はたらく☆みらい」は、俳優の園岡新太郎さんにお話を伺います！

1.ベテラン俳優が思うAI

ミラマガ取材班
園岡さんは、舞台や映像作品などで俳優から声優まで幅広くご活躍されているそうですが、率直に「働く未来（人工知能と仕事）」をどう考えますか？

園岡さん
映像作品での背景の生成や、舞台装置の自動化などが一番に思い浮かびますね。わかりやすいところで言うと、大勢のエキストラが必要な撮影を、ＡＩで背景の自動生成をするとかでしょうか。これによって撮影にかかる人件費や衣装代などのコスト、時間も大幅に削減できるので。

ミラマガ取材班
俳優さんがグリーンバックで演技した映像をＣＧで合成する、というのは確かにメイキング映像としてよく見かけます。

園岡さん
昔は時代劇に出る前に「乗馬習っておいて」なんて気軽に言われることがあったんですが、自費で乗馬を習得したと思ったらその仕事がバラシ（出演がキャンセルになること）になるなんてこともありました。まあ、一度乗馬ができるようになればその後も生かせるスキルなんですけど。

2.AIのメリットとデメリット

ミラマガ取材班
今であれば、わざわざ俳優さんに乗馬を習得してもらわなくてもCGで合成ができますね。
CGもこれからもっと自然に仕上がるよう進歩していくでしょうし、テクノロジーの進化で得られるメリットは豊富です。

園岡さん
しかし便利な反面、俳優業界ではＡＩによる職域の侵害もありうると危惧しています。
例えば、俳優の演技や音声をＡＩに学習させたうえで、そのＡＩの生成物を作品に無許可で使用するようなことです。こうすれば知名度のある俳優でも、必要なギャランティを支払うことなく登場させることができてしまうので。

ミラマガ取材班
なるほど。テクノロジーの進歩とともに、生成系ＡＩを活用するガイドラインや法律による規制などが必要になってくるかもしれませんね。

園岡さん
そう思います。
それに、どんなに演技や声を学習して精巧なコピーができたとしても、我々俳優としては「それは違うんじゃないか」と思いますし。

ミラマガ取材班
確かに。その作品を楽しむ側も人間である以上、そこに携わる俳優・監督など制作に携わる「人」が大事なのだと思います。「この時の俳優さんの表情はどんな心情を表しているのか」とか「このカットはどうして入れられたのか」とか、その背景に人の気持ちが入ることで味わい深くなるんじゃないかなと。
ところで、園岡さんの仕事のモチベーションは何ですか？

3.お仕事のモチベーションは？

園岡さん
自分が「良い」「面白い」と思った作品にかかわれるのは楽しいですね。特に、尊敬する先輩俳優や監督など、憧れの方々と一緒に仕事をできるのは良いモチベーションで、一緒に撮った写真なんかは、自宅に飾ってよく見えるようにしているくらいです。（笑）
あとは、私はもともと舞台出身ですが、声優業も始めた際に子供向けのアニメに出演したときは、自身の子供だけじゃなく共演者からも評判でうれしかったです。子役だけじゃなく成人した共演者にも「見てました！」って言われるとうれしいですからね。

4.園岡さんの思うはたらく☆みらい

ミラマガ取材班
ありがとうございます。最後に、園岡さんにとって「はたらく☆みらい」の展望を教えてください。

園岡さん
私はもう今年70歳になるので「あと何年できるかな」って思いながら続けてますね。（笑）一般的にはもう定年退職している年ですから。
ただ、これからはもっと自分のやりたいと思うこと、「面白い」って思えることに積極的にかかわっていきたいです。昔はいろんなことにチャレンジして稼ぐための仕事もしていましたが、今は面白いものであれば稼げる・稼げないの話は置いておこうと。（笑）
演者が「面白い」と思っていなければ、お客さまにも面白いと思ってもらえませんしね。
なので、私にとっての「はたらく☆みらい」は、面白いことの探求だと思います。