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【はたらく みらい】作曲家ってどんな仕事するの?

令和の時代。
仕事の在り方そのものが変わろうとしている。
人々の多様性や生き方、価値観はどう変化するだろう?
AIなどの人工知能の発達は、どんな影響をもたらすだろう?
でも…
働きかたは十人十色! 人によって顔や性格が違うように、仕事も、働き方もいろいろ違う方が面白い。
いろんな人の働き方、生き方をリサーチすることで「はたらく☆みらい」を探求する、この企画。
合言葉は、わたしたちの未来は、きっと明るい

 

さて今回の「はたらく☆みらい」は、兼業作曲家のMACBETHさんにお話を伺います!

 

1.作曲家のしごと

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MACBETHさんは以前副業ではなく本業として作曲事務所に所属していたそうですが、当時どんなことをされていたのでしょうか?

 

MACBETHさん
事務所経由でレコード会社のコンペに自作の曲を出していました。私が作曲していた2000年前後はIT革命直後ぐらい、まだブロードバンドもない時代で投稿サイトなんてものは存在しなかったので、PCで作曲した楽曲をMDやCDに焼いて、そのディスクを郵送や持ち込みをして応募していました。

正直、事務所に入ったところでコンペを斡旋してくれるだけで何をしてくれるということもないので、自分でそうしたコンペを探して応募した方が早いのでは?と思い、5年ほどで辞めました。
でも、事務所にきちんと所属していると楽曲を披露する場があるので、そうした意味では良かったと思っています。

 

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コンペについて、もう少しお話聞かせてください!
勝手なイメージですが、やっぱり楽曲の提供って、名のある人が有利なんですか?

 

MACBETHさん
コンペは作家の知名度や事務所の実績は関係なく、楽曲で判断されます。なので、既にプロとしてある程度、活躍している作曲家もコンペに普通に参加します。歌手(事務所)側が直接指名して依頼すれば話は別ですけどね。

 

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なるほど。コンペはどんな感じでオーダーされるものなのでしょう?具体的に教えてください。

 

MACBETHさん
コンペでは簡単に、事務所側が求めている楽曲のテイストだけ提示されます。例えば、当時の資料から抜粋すると…

・観月ありさ
TVドラマの主題歌
今井美樹さんが歌う、布袋寅泰さん作曲系のバラード

・hitomi

テレビドラマ主題歌

love 2000調のロック系

・ロンドン・ブーツ
デビュー曲
スカコアやハードコア系の楽しいロック

・こうだくみ(現:倖田來未)
新人らしい、字は聞いてない
R&B

・BoA
デビュー曲は決定しているので、セカンドシングルとアルバム用
R&B/SPEEDや少し前の安室奈美恵風に


当時、配布された用紙には有名歌手の名前が…!

ちなみに末端の作曲家がレコーディングに立ち会うようなことは基本ないですね。あくまでも楽曲を提供するだけの仕事です。

 

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だいたい1曲いくらぐらいになるのでしょうか?

 

MACBETHさん
契約内容にもよると思いますが、新人の場合は印税1%、作曲1%、作詞1% 歌唱1%ではなかったかと思います。

名前で仕事がくるようになれば、もっと%が高いはずです。CDなどの売り上げだけでなく、カラオケやTVでの演奏にも印税が入ってきます(ただし歌唱印税のみで自身の歌でない場合は上記二つには含まれない)。
ですが、簡単に採用されるものではないのです。私の場合、事務所に所属していた時代は、曲が採用されなければ無収入なので、時給が高い着メロの制作のアルバイトをしていました。

 

2.着メロって憶えてますか?

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着メロって、あの、ガラケー時代の着信メロディのことですか?

 

MACBETHさん
そうです。20代の皆さんはご存じないかもしれませんが、1999年にiモードが開始され、課金して楽曲データをダウンロードするのが一般的となりました。
楽曲そのものを作る役割の人もいましたが、私は基本曲のMIDIデータを実機で鳴らせるように変換する作業をしていました。

 

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素人ですみません。MIDIって、何ですか?

 

MACBETHさん
MIDI(ミディ)は Musical Instruments Digital Interfaceの略です。

シンセサイザーなどの電子楽器同士を接続するための、統一規格を表します。演奏データを機器間で転送・共有するための共通規格というとわかりやすいでしょうか。そうすることで、メーカーや製品を問わず、どの機器に対しても入出力や同じような操作が可能になります。


2000年前後の当時に使っていた自宅の機材たち。写真は2010年ごろ。

 

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なんだか難しそうです。そんな作業、誰でもできるものですか?

 

MACBETHさん
ツールを使用するので、それほど難しいことではありませんよ。ただ、絶対音感がある人は断然有利でした。
着メロづくりは耳コピで聞こえてくるメロディ、音階に近しいものを、MIDIを使って自力で作ります。上手い人や絶対音感がある人は少し聞いただけで再現できますが、私は何度も何度も曲を聴き返していたため時間がかかりましたね。
最後はその当時の携帯の実機で鳴らして、違和感がないかを確認して問題なければ完成です。

 

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私たちがこぞってダウンロードしていた着メロが、もしかしたらMACBETHさんが作ったものだったかもしれないということですね。
ところで、 現在も作曲活動されているとか?

 

MACBETHさん
ぼちぼちですね。安定的な収入を得て生活ができるように、会社に勤めて働こうと思って、就活して民間企業に入社しました。

ただ、そのうちに仕事が多忙を極め、どんどん音楽から離れていったので…。やはり、モチベーション維持のためにも、機会があるのは大事だったと思います。ちなみに、今は制作会社で広告運用の仕事をしています。

 

3.価値観の変化と音楽の未来

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それでは、MACBETHさんが考える音楽業界の未来についてお聞かせください。

 

MACBETHさん
私が本業で作曲を生業にしていた20年前から時代は遷移し、好きなことを仕事にしようという価値観だったり、副業することが当たり前だったり、仕事に対する考えも働き方も大きく変わりました。

SNSなどを利用して、個人が気軽に自分の作品を世界中の人々に届けられる世界となった今、作曲という仕事も大衆化したように思います。また、SNSに上がった音楽に手が加えられ、さらにバズるという現象も音楽の作り方、楽しみ方の大きな変化といえると思います。

 

ただ、簡単に作れるものは簡単に飽きられ、消費されていくのも事実。

未来はさらに誰にも真似できない音楽的センスが必要になってくるのではないでしょうか。

 

また、自分の思い描く楽曲を再現するための手法が変わっても、自己表現の動機や作曲の本質が変わらないと考えれば、楽器が弾けて、知識や理論がある人にアドバンテージがあることに変わりはないでしょう。

どんなにテクノロジーが発達しても、最後は人の感性に委ねられるのが音楽であると私は信じています

楽曲を再現するためのツールが発展し、いろいろな働き方が普通になった現代だからこそ、私自身も会社員と作曲家の2足の草鞋を今こそ上手に履けたらなと密かに闘志を燃やしています!

 

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普段、何気なく音に触れていますが、作り手の存在に初めて興味がわきました。音楽制作、発信の敷居が下がったことが、今後の音楽業界に与える影響についても注目してみたいと思います!

今日は、ありがとうございました。

MACBETHさんの経歴

小室哲哉をはじめとし、作曲家としても活躍するプロデューサーが全盛の頃に10代を過ごし、20歳で上京。作曲家事務所に所属しコンペに参加しながらアルバイトの日々を過ごし後にサラリーマンへ転身。
現在は、作曲活動を続けながら広告運用マーケターとして働いている。

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